糖尿病の診断基準や、糖尿病の種類、メタボリックシンドロームについて。糖尿病外来専門の山王内科クリニック

糖尿病について

糖尿病とは

 膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足したり、その働きが不十分なために起こる病気です。食事を取ると腸から栄養が吸収され、ブドウ糖が血液に入ると瞬時にインスリンが分泌されます。インスリンはブドウ糖を肝臓、筋肉や脂肪細胞に取り込んだり、肝臓からの糖の放出を抑えたりします。インスリンが不足したり、働きが不十分だと、血液内のブドウ糖が処理できず、ブドウ糖は血液の中に溜まってしまいます。この高血糖の状態が糖尿病です。
 日本人は欧米人に比べて、インスリンの分泌能力が低いため、欧米人ほど肥満でないのに糖尿病の頻度が高くなっています。
 平成14年糖尿病実態調査では、糖尿病の人と糖尿病が強く疑われる人は約740万人、糖尿病の可能性を否定できない人は約880万人、合計約1620万人もいます。40歳以上の5人に1人は糖尿病かその予備軍であると言われています。

糖尿病の診断基準

1~3のいずれかの高血糖が、別の日に行った検査で2回以上確認できれば、糖尿病と診断します。また1回の高血糖でも、a - c のいずれかがあれば、糖尿病と診断します。

  1. 随時血糖値200mg/dl以上
  2. 早朝空腹時血糖値126mg/dl以上
  3. 75g糖負荷試験で2時間値200mg/dl以上
  • 糖尿病の典型的な症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)
  • ヘモグロビンA1cの検査値が6.5% 以上
  • 糖尿病網膜症

境界型:空腹時血糖110mg/dl以上~126mg/dl未満、食後血糖140mg/dl以上~200mg/dl未満の人は境界型です。いわゆる予備軍ですから、定期的検査が必要です。

糖尿病の種類

 大きく分けて1型2型糖尿病に分類します。1型はインスリンを作る細胞が破壊されてインスリン分泌がほぼゼロになっているタイプの糖尿病です。インスリンを注射で補わなければなりません。子供に多く見られるタイプです。急激に発症しますが、中にはゆっくり発症するタイプ(slowly progressive IDDM)もあります。
インスリンの分泌 2型は遺伝的要素に加え、過食、肥満、運動不足、ストレスなどが引き金となって発症するタイプです。インスリンの分泌不足とインスリンの感受性低下がかかわっています。中高年に多く、日本人の糖尿病の大部分がこのタイプです。そのほかに、妊娠糖尿病や他の疾患(膵外分泌疾患や肝疾患など)が原因のものもあります。
 イラストは糖分が多すぎて、膵臓がオーバーワークになっている状態と、食事や肥満、運動不足によりキャッチャーの働きが悪くなりインスリンが来ても糖分を利用できない状態です。
 膵臓は、血液中に一定以上の糖分があるかぎり(高血糖)、インスリンを出すために働きつづけて、やがて疲れてインスリンを十分に出せなくなって、糖尿病になります。

どんな症状?

 のどが渇く、尿の回数が多い、体がだるい、体重減少、視力低下などがあります。しかし、初期の段階では自覚症状はほとんどありません。

なぜ恐ろしい?

 怖いのは糖尿病の三大合併症です。網膜症で突然目が見えなくなったり、腎症で腎機能が悪化して血液透析を受けることになったり、神経障害でしびれや痛み、筋肉の痙攣、インポテンツなどの症状が出たり、足病変の漬瘍・壊疸が悪化し、切断しなければならないこともあります。また、糖尿病の人は動脈硬化が進行するため、心筋梗塞、脳梗塞などを若い時期に起こしやすくなります。当院ではEDの治療も行っています。

治療は?

 食事療法運動療法が基本となります。それでも血糖が高い人は薬物療法を行います。
 薬物療法には経口薬療法インスリン注射がありますが、患者さんの状態に応じて治療法を選択します。主治医を決めて相談しましょう。

メタボリックシンドローム

 肥満、耐糖能異常(血糖値の上昇)、高血圧、高脂血症の生活習慣病が重複すると、それぞれが軽症でも動脈硬化性疾患の発生頻度が極めて高くなります。これらの危険因子が重複する病態をメタボリックシンドロームと言います。糖尿病の人は、他の危険因子がないかを検査し、糖尿病以外の治療も早期から行うことが心筋梗塞や脳梗塞の予防につながります。

メタボリックシンドロームの診断基準
脂質代謝異常 トリグリセライド値150mg/dl以上、かつ(または)HDLコレステロール値40mg/dl未満
血圧高値 収縮期血圧130mmHg以上、かつ(または)拡張期血圧85mmHg以上
糖代謝異常 空腹時血糖値110mg/dl以上

メタボリックシンドロームの診断基準は、ウエスト周囲径♂85cm以上、♀90cm以上(内臓脂肪蓄積)に加え、上記のうち2項目以上です。

メタボ健診で、なぜ血糖や HbA1c の値がみんな異なるの?

平成20年から始まった特定健診(メタボ健診)腹囲に関しては賛否両論がありますが、最も混乱するのは血糖とHbA1cです。

特定保健指導の判定 メタボリックシンドロームの判定 糖尿病の判定
空腹時血糖 100mg/dl以上 110mg/dl以上 126mg/dl以上
HbA1c 5.2%以上 5.5%以上 5.8%以上

特定保健指導の判定やメタボリックシンドロームの判定は、糖尿病を診断する目的ではなく、メタボリックシンドロームの該当者や予備軍を見つけ出すことを目的にしているため、糖尿病の判定より低い値となっています。また、特定保健指導の判定は、メタボリックシンドロームになるのを防ぐための指導をするため、もう一段低い値となっています。糖尿病の判定で異常ではなく、その他の判定で異常と診断された人は、予備軍または境界型糖尿病の可能性があると考えて食事、運動に注意して下さい。
P.S. いずれにせよ分かりにくい判定です。主治医の先生によく説明してもらいましょう。